「そもそも共生社会ってなあに?実践者が語る、地域共生社会のリアル」
2020.04.09.Thu
カテゴリ:イベント, 未来へ
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気が付けば、早半年近くが経過しようとしていますが(汗)、昨年末ぐるんとびーに、佐賀で看護小規模多機能「むく」を運営する合同会社「MUKU」代表佐伯美智子氏、仙台で医・食・住の多世代交流複合型施設「アンダンチ」を運営する福井大輔氏、そして長崎の社会福祉法人ながよ光彩会業務執行理事/統括施設長であり、NPO法人Ubdobe 理事(CFO)も務める貞松徹氏という、錚々たるメンバーが遊びに来るよ!ということで、せっかくだったら語ってもらおうぜ、と急遽開催されることになったこのイベント。このノリこそがまさにぐるんとびーなわけですが(笑)、日本の介護業界最先端を行く豪華な顔ぶれに語っていただきました、「地域共生社会ってなあに?」。
目次:
- 仙台の多世代複合型施設「アンダンチ」の紹介
- 長崎の看護小規模多機能「むく」の紹介
- 座談会「共生社会ってなあに?」
※Ubdobe エンターテイメント×医療福祉で、業界の課題を解決してこ!みんなの社会参加を促してこ!と様々なイベントや企画をプロデュースする団体。
- 仙台の多世代複合型施設「アンダンチ」の紹介
2018年7月に開設以降、全国から注目を浴びるアンダンチは、東日本大震災後、震災の集団移転地域として指定される地区にある約1000坪の土地に建てられた、サービス付き高齢者向け住宅、看護小規模多機能型居宅介護、訪問看護ステーション、障害者就労継続支援B型事業所、企業主導型保育所、レストランが入った複合施設。デイサービスは敢えて持たず、必要な人には外部のデイサービスに出てもらう一方、地域の人に日中空いている空間を貸し出しすることで、内から外へ、外から内へ、自然な交流が生まれる仕組みづくりを行う。ママサークルのイベントに赤ちゃん連れでやってくるママもいれば、駄菓子屋を目当てに集まってくる小学生もいる。世代を問わず、アンダンチが「居場所」となっているという。さらに、アンダンチ内で飼っているヤギは東北工業大学から譲り受けたものだが、ヤギを通じて学生たちと交流が生まれる中で、アンダンチを運営する株式会社未来企画に4月からの入社を決めた学生も出てきた。
- 長崎の看護小規模多機能「むく」の紹介
マイナスから始まってプラスに変えていく女、むくの佐伯さんは、スノーボードにはまってニュージーランドへ行き、対馬からオーストラリアを経て、現地で結婚・出産・離婚、カイトサーフィンにはまって、現在の唐津へ移り住み、作業療法士として病院や高齢者施設に勤務するも「私がやりたいのこれじゃなーい!」と3人目を妊娠中にむくの構想を思い立ち、3男が3か月の時、2017年4月に起業。って、もう佐伯さんの人生からして面白すぎる!
そんな佐伯さんが立ち上げたむくの3つの仕掛けは、
- 子連れ出勤大歓迎
- 子ども手当あり/子どもはご飯味噌汁食べ放題/保育園・ようちえん送迎自由
- 赤ちゃんボランティア(0~3歳)。
始めは子連れ出勤していたスタッフの子どももすぐに赤ちゃんでなくなることからスタート
- 駄菓子屋さん
実際問題、子連れ出勤を大きく謡っていても中には子どもたちの存在に眉をひそめるスタッフもいるというが、それでも介護現場に子どもがいたほうがいい理由として、佐伯さんは、①利用者に暮らしの場、役割を与える②事業所にざわざわ感、生活音が生じて、介護事業所らしくなくなる③通ってくる母と子にも社会的役割、居場所ができる、を挙げる。
その人の好きや生きがいにまでたどり着けるケアを目指すむく。最近は、複数の事業所と一緒に、スナックを借りて、「Kaigo Barよろよろ」も始めた。普段はお酒を飲む機会がなかなか得られないご利用者さんたちも、スタッフと一緒に、一事業所の枠を超えて、みんなでお酒を楽しんでいるとか。
多世代が自然に集う場、介護事業所らしくない生活音のある空間、利用者さんとお酒…とアンダンチやむくの取り組みを聞いていると、ぐるんとびーとの共通点が浮かび上がってくる。彼らがゴールとしているのはただ単に介護や看護ではなく、もちろん必要な人に必要な介護や看護を提供することは大前提として、暮らしの場であり生きがいだ。
③座談会「共生社会ってなあに?」
むく、アンダンチの紹介の後は、ぐるんとびーの社外取締役である川島勇我さんをファシリテーターに、貞松さん、健介さんも参戦し、「地域共生社会ってなんぞや?」についての座談会がスタート。
普段は某大手商社に勤めるデザイナーである勇我さん。「国にお金がなくなったから、地域で自分たちでなんとかしてと、国が無理やり‘地域共生社会’をつくろうとしているのではないか?」「介護職は土日返上、一般のサラリーマンよりも低い報酬で、‘地域共生社会づくり’までやろうとしているけれど、何でオレたちだけでやらなきゃいけないのとはならないの?」「一般住民は蛇口をひねると水が勝手に出るように、介護を当たり前に受けられると思っているふしがある。住民のマインドチェンジが必要では?」と、よくよく考えて…みなくても不思議な介護業界の「当たり前のように受け入れてしまっているけれどそれでいいの」案件にぐっさり切り込んでくるあたり、やはりぐるんとびーの社外取締役(笑)
これに対して、佐伯さんからは「そもそも(ただでさえお金なくなってる)介護保険で地域共生するお金はあるの?(=ないよね~)」の問題提起。
貞松さんからは、「マインドチェンジというよりは、大事なのは気付くこと。一人ひとりのマインドチェンジは既にできていて、一人ひとりは悩んでいるけれど、孤立化してつながれていないからコミュニティにならない」との指摘に、「つなぎ役が必要だけれど、それを介護職に丸投げ」「介護福祉にいい人が多いことに国が甘えている」の声も。
ここから「人に迷惑をかけちゃいけませんっていう日本の教育自体が間違っているよね」と議論は展開。「人に迷惑はかけ合いましょう」で、場の意見が一致するあたりもこの顔ぶれならでは、か。
最後に、各々が考える地域共生、どこまでやるかについて問われると、
「自分事と隣事まではしっかりやりたいけれど他人事はやらない。隣事の基準は俺に好意を持ってくれているかどうか」と貞松さん。「地域共生はそこらじゅうにある。気付けるかどうか。自然の豊かさ、人の豊かさ、身近な豊かさに気づくこと」とも。
むくの佐伯さんが「自分の身の丈に合った、自分に居心地のよい範囲。自分の人生を豊かにしておくことからスタート」と語れば、「賛否両論あっていい」とアンダンチの福井さん。
ぐるんとびー健介さんは、「地域共生なんて知らねぇよというお話。目指すのは地球共生」。ハイ、期待を裏切らず、健介節は常に健在。そう、ぐるんとびーが目指すのは、地域共生なんてぶっとばして、地球共生なのだ。
「地域共生っていうけど、そもそも地域って何だっけ?」というところで幕を閉じた本イベント。議論は第2弾に続く…はず。どうぞお楽しみに!
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