ぐるんとびーな人たち No1 「縁の下の力持ち」 菅原有紀子さん
2019.12.13.Fri
カテゴリ:ほっこり
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小規模多機能型居宅介護(小規模多機能)から始まり、訪問看護ステーションを立ち上げ、地域のちょっとした困ったに応える御用聞きサービスもスタート。
11月には居宅介護支援事業所(ケアマネ事業所)が始まり、来年には、看護小規模多機能型居宅介護(看多機)も開設予定のぐるんとびー。ほかの法人とのコラボレーションによる事業展開はもとより、拠点も藤沢市にとどまらず、健介さんことぐるんとびー代表・菅原健介の地元である鎌倉へと広がり始めている。
単に介護事業所の経営者というよりも社会起業家と言っていい健介さんは、誰がどう見たって熱い人である。
でも実は冷静さも兼ね備えた、数字に強い経営者でもある。とりわけ小規模多機能のマネジメントに関しては、ノウハウ本にして売ったらいいんじゃないの?というくらいの手腕の持ち主だと勝手に思っているのだけれど、そんな情熱と冷静さのあいだにあって、モナリザ級微笑を常に絶やさず、周囲をふわっと包んでいるのが有紀子さんである。
「Always Why?」と柔軟な発想でその時々の最適解を探し求め、介護×団地を軸に「団地を、地域を、一つの家族に」と、地域を耕し続ける健介さんの公私ともにパートナーであり、ぐるんとびーの経営を共に支える。
有紀子さんから見たぐるんとびーのこと、経営者・菅原健介のこと、聞いてみました。
いつもそばにいる、一番の応援者
「私の立ち位置としては、縁の下の力持ち的な存在だと思っていて。
スタッフにも健介にも、全力でご利用者さんのこととこれから目指す未来の道を向いて行ってもらいたいから、彼らが全力で向かえるよう、一番下から支えたいと思っています。
みんなが働きやすい職場にすることや不安なく働けるようにしていくのが私の役割」と語る有紀子さん。
健介さんが母である菅原由美さんの運営する小規模多機能居宅介護支援事業所「絆」やキャンナスの活動から独立し、ぐるんとびーを始める決意をした当初からの一番の支援者でもある。
「彼ならやれると思っていたし、独立したいという思いは最初から応援していました。一つの会社の経営者であること以上に、地域を変える、世界を変えると謡って、大きなことを成し遂げようとしていますよね。FBなんかを見ていると大胆な発言をしていることもあるし、敢えてそういう発言をしているというところもあるのですが、あちこちから槍が飛んでくることは始めから承知の上(笑) 私に飛んでくるわけではないので、「味方がここにいるよ」と。」
常に菅原健介って感じです(笑)
厚労省始め全国から視察が後を絶たず、メディアの注目度も高いぐるんとびー。
その表の顔である健介さんを、「常に菅原健介」という有紀子さんの表現は言い得て妙。
「0から1ができる人間は限られていますが、彼は0から1を生み出せる人。そういう意味では尊敬もしています。
彼自身かなり個性的ですが、スタッフも個性的な人が多い」というように、ぐるんとびーはスタッフも個性派ぞろいである。
その個性的なスタッフの採用に、有紀子さんも全面的に関わってきたが、採用基準の一つが、「お節介な人」。
「良くも悪くも、自分のことだけでなくて、他人のことが気になる人。採用面接で、その人の経験も踏まえてどんな生き方をしてきたかを聞いていくと、人となりが浮かんできます。
「(仕事以外で)何を大切にしていますか?」という質問は必ずします。ぐるんとびーでは介護や医療の仕事をするだけでなく、ご利用者さんやスタッフも家族のように接していきたいということが前提にあるので、プライベートなことも聞いていきますし、ご家族の理解が得られるか、家族関係はどうかも面接で見ています。
なぜかと言うと、ぐるんとびーでは、夜にカンファレンスをするのに非常勤の人も出てきたりするし、休みの日の研修も多かったりする。家族の理解がなく、「何で夜や休日にまでそんなに仕事で出ていかないといけないの?」となると、本人がやりたくても板挟みになってしまうし、そもそも家庭があっての仕事なので家庭のことはよく聞きます。採用面接なのに、結構立ち入ったことを聞いていますね(笑)」
ぐるんとびーで働くということには、単に働くということを超えて、どこまでがプライベートでどこまでが仕事かという枠組みでとらえていては苦しい部分が生じることもある。
菅原ファミリー始め、ぐるんとびーの事業所が入る同じ団地に住んでいるスタッフも少なくないため、明確な線引きではなく「ごちゃまぜ」を楽しめる精神が、ぐるんとびーの醍醐味を最大限に味わう鍵を握る。
そして、有紀子さんが採用において一番大切にしているのが、「看護師のあなたを採用したい」「介護福祉士のあなたを採用したい」という以前に、「あなた自身を採用したい」ということ。
根本にあるのは、看護師や介護福祉士である前に「人でしょ」という感覚だ。
「資格という鎧を着ているだけで、その鎧を脱げば人でしょうと。
資格以上にその人自身を見て、採用したいと考えています。看護や介護を提供する事業所である以上、もちろん資格は必要ですが、「あなた」を採用するからこそ、ぐるんとびーはスタッフ一人ひとりの特性を見極めようとするし、その成長をじっくり待とうとします。
でも、3年が経って、人材が育ってきたことから、最近は、現場の管理者に任せる方向性で進めています。
会社のスタート当時は私も一緒に採用含め前に出ていましたが、もう現場の管理者も育ってきているので、私はどんどん下がろうと思っています。見えないくらいに」と、有紀子スマイル。
「私は見えないくらいでいい」と有紀子さんは繰り返し口にするが、屋台骨を見えないところでしっかり支える存在があってこそ、組織はうまく回る。
その役割を自分のものとして自負する有紀子さんだが、「自分のことで精いっぱいで生きてきて、地域のことなんて考えたこともなかった」と意外な言葉も飛び出す。
「菅原親子に出会って、私も変わりました。少しだけ、世界を広く見ることができるようになった。
私自身に壮大なことはできなくても、それを実現する人を支えるのも一つの役割ですよね。
入社したスタッフには直属のリーダーや健介に言えないことがもしあったらいつでも言ってねと声をかけていますし、こちらからも気が付いたら声をかけるようにしています。」
そんな有紀子さんにとって何よりの幸せが、「スタッフが楽しく笑っているのを見ること」だ。
「現場はしんどいことも多いので、スタッフが泣いていたり怒っていたりする場面も見るけれど、やっぱり笑顔だと嬉しい。
「辛いこともあるけど楽しい」と言われると、心からよかったと思います。
ぐるんとびーにはルールがなくて、自分がいいと思ったことはやってもいいというスタンスなので、スタッフは日々いろんなことを悩みながら、いろんなことをやっています。
これはご利用者さんにとっていいだろうと思ってチャレンジしたことでもきっと不安。
それを私たちがきちんと「よくチャレンジしたね」「いいね、あれ」「ご利用者さんの笑顔、すごくよかったね」と声かけをすることが大切だなと思っています。」
文責:医療福祉ライター 今村美都
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