世界に一つだけの「ユミニチュード」
2019.12.19.Thu
カテゴリ:NPO, ほっこり, 未来へ, 美味しい
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代表・菅原健介を筆頭に、ぐるんとびーを統括するケアマネ兼看護師の石川、管理者の神谷、事務方兼時折夜勤担当富樫…と数を挙げればキリがない‘お節介’な人が粒ぞろい・勢ぞろいのぐるんとびーにあってしても、石川が「お節介アワードNo.1」と呼ぶのが大内由美である。
主に小規模多機能をホームヘルパーとして支える大内には、ご利用者さんの中にも根強いファンが多い。
「大内さんと一緒ならば」と3年は居座っていたかと思われる石からですら重い腰を上げさせ、外に連れ出してしまうし、他のどの事業所でも他のどのホームヘルパーでもお手上げ状態だった人でも笑顔にしてしまう。
「秘訣は?」と聞くと、「芋」とか答えてくるのであるが、その真意を紐解けば、浮かび上がってきたのは、家族から危ないからと、包丁はおろか掃除機すら取り上げられていた一人の女性。
本人の「やれる」と実際の「やれていない」のギャップにパニックを起こし、家族も含め、「何に困っているかわからなくて困っている」錯乱状態の中、その女性の懐に入り込むことに唯一成功したのが大内だった。
その混沌の真っ最中にも、大内(と石川)には、既にエプロンを付けた女性が台所に立つ姿が見えていたと言う。
「次のワクワクが見えてる。その先が見えると楽しくて仕方がない」という大内に、「どのエプロンが似合うかなって、一緒に妄想して、本当に探してたもんね」と石川。
というわけで、大内は、一緒に料理をすることに成功、ちょっと気が乗らない時にでも一緒に台所に立って芋が蒸かせるようにと、バッグの中には「芋」というわけである。
ちなみに、ぐるんとびーの近所にある東急ストアのドトールでお茶をするご利用者さんと大内を見かけたご近所さんから、「あれは嫁か?娘か?いや、あのやさしさは息子の嫁だろう」というささやき声が聞こえてきたこともあったというが、正解は、「ぐるんとびーのスタッフ(ホームヘルパー)」でした~!
介護の「か」の字も知らなかった大内がぐるんとびーに入社するきっかけとなったのは、求人のチラシ。
「子連れOK」の文言に釣られて、面談にも子連れで参上、面談中に菅原家の子どもたちとすっかり仲良しになった息子の帰り道の言葉は、「ここで働けたらいいね、ママ」。
今となってはぐるんとびーになくてはならない唯一無二の人であるが、「変化に気付くセンサー感度100%。向こう側にいっちゃってる」と石川が絶賛する大内のユマニチュードならぬユミニチュード。
一体どんなバックグラウンドがあると大内のような人が出来上がり、ユミニチュードが生まれるのだろうと素朴な疑問を投げかけると、横からすかさず石川が答えてくれた。
「千葉のヤンキー!」ヤンキー時代の黒歴史には触れずにおく。
が、ユミニチュードの確立には、必要不可欠なものであったことは記しておきたい。どんな状況でもどうにかしてしまうユミニチュードの創始者は言う。「仕事ですから。」
ケアの一つの方法論として近年注目を浴びるユマニチュード。
ユマニチュードはもちろん素晴らしいものだけれど、ユマニチュードと違って、ユミニチュードは大内由美以外の人には真似できない、世界で一つだけのものだ。でも本当は、きっと、ユマニチュードだって同じだろう。
その方法論の先に、それぞれたった一つの、その人にしかできないケアがある。だからこそ、ケアの世界は、どこまでも奥深く、面白い。
(文責:医療福祉ライター 今村美都)