久保 直子

看護小規模多機能型居宅介護 所属/作業療法士
神奈川県横浜市出身。O型。みずがめ座


楽しんで
仕事になるなんて
最高!

横浜で両親のものづくりに囲まれて育った久保さん。高校生の時に手に取ったパンフレットが、彼女の人生を大きく変えることになります。「楽しいことをしながらそれがリハビリになるなんて最高の仕事!」という直感から始まった作業療法士への道のりとは?

神奈川県横浜市の生まれ。ごくごく普通の家庭で育ちました。センスはともかく、両親はものづくりが好きで、父は日曜大工が大好き。子どもの頃はすべり台やブランコ、お人形の家などの遊び道具、流しそうめんのセットも手作りで作ってしまうほどでした。母は針仕事が好きで、浴衣や洋服も作ってもらったし、よく一緒に縫い物をしていました。今、思い返すと意識したことはありませんでしたが、子どもの頃から”作業療法”で育てられてきたのかもしれません(笑)。

高校で進路を決める時期に手に取ったパンフレットで初めて”作業療法士”という職業を知りました。”手工芸やレクリエーションを通して機能回復を図る…”という文面を見て、「楽しいことをしながらそれがリハビリになるなんて最高の仕事!」と思い、直感で作業療法士になることを決めました。

生まれたジレンマ。
そして
ぐるんとびーとの出会い。

理想を抱いて作業療法士となった久保さんでしたが、現実の現場では大きなジレンマに直面することになります。そんな彼女を救ったぐるんとびーとの出会いとは?
もう回復は望めない『生活期(維持期)』と言われる時期にある利用者さんたち。その方たちの生活を大きく変えることができるとしたら、"作業"しかない!と、ずっとそう思ってきました。「作業療法士は生活期で活躍できる!」という信念を持って、回復期リハビリテーション病院2件で経験を積み、いざ生活期のステージ(老人保健施設)で働くことになりました。しかし、老人保健施設での生活は想い描いていたものと真逆のものでした。
施設の利益や運営が最優先。人生の"大先輩"の「もう一度働いてみたい!」「もう一度スポーツジムのプールに行きたい!」「漢検2級の試験を受けに行きたい!」という願いに対し、作業療法士として"達成可能"と評価できているのにも関わらず、叶えることができないもどかしさを抱えながら日々、勤務していました。
そんな利用者さんたちの夢を叶えるヒントを探すため、参加した街づくりのセミナーで「ぐるんとびー」の存在を知りました。代表の菅原の「やりたいことが叶えられるリハビリのシステムを作りたい!」というSNS投稿を見て「ぐるんとびーに行くしかない!」と思いました。

自由な環境で
踏み出した
一歩。

ついに念願のぐるんとびーの一員となった久保さん。しかし、そこで待っていたのは予想外の戸惑いでした。自由すぎる環境で、彼女はどのような気づきを得たのでしょうか。

紆余曲折がありながらも、代表の菅原から声をかけてもらいぐるんとびーの一員に。しかし、いざ働いてみると「こうしなければいけない」の枠がありません。「何をしてもいい」と言われると逆にどうすればいいかわからないのです。今までは病院や施設での枠組みが煩わしく感じていたのに、いざ枠組みがないと不安になりました。そんな自分の弱さや変化と向き合う中、スタッフの結婚式の企画をすることになったのです。

当初、スタッフ間だけで行おうと考えていましたが、事業所の利用者さんも巻き込もうと思いました。結婚式は自分や自分の子ども、友人、親戚など色々なきっかけで体験し、特別な思い出や感情とセットで誰しもの胸の中にあるはず。それなら、利用者さんたちに企画の段階から関わってもらって、利用者さんそれぞれの結婚式に纏わるエピソードと、スタッフへの想いが重なって新たな物語と”役割”が生まれる作業療法になり得ると考えたのです。

自然と作る役割が、
その人の生きる力を
引き出す。

スタッフの結婚式企画で生まれた奇跡的な変化とは何だったのでしょうか。利用者さんたちの驚くべき行動力の背景にあった「役割」の力とは?

新婦のお父さん役としてバージンロードを歩く役をある利用者さんにお願いすることにしました。自宅内を1周歩くだけでゼーゼー息切れしていたにも関わらず、毎日汗だくになりながら自ら歩く練習に取り組んでいました。

「今日は2周歩けた」「今日は5周歩けた」と言いながら気づけば、ぐるんとびーの事業所内を100往復するまでに(笑)! 歩行器を使ってもやっとだったのに、歩行器なしで屋外も歩けるようになりました。「なんで俺なんや」と始めは渋々引き受けてくれたのに、当日は立派にバージンロードを歩き、スピーチまで考えてくれました。

また、末期癌で余命宣告を過ぎている利用者さんは、誰よりも結婚式を楽しみにしてくれていて。当日まで身体がもつか心配でしたが、毎日のように飾りつけや衣装に合わせたアクセサリー作りをしてくれました。当日は朝早くから来てお料理の準備やケーキのデコレーション! 誰よりも働いて、自分の孫が結婚するかのように喜んでくださいました。

利用者さんそれぞれの過去の記憶や思い出と、今この瞬間の「役割」とが結びつくことで新しい物語が生まれ、「誰かのために」という誰しもが思う生きる力の原点のようなものを引き出せた気がしたことを今でも忘れません。

ぐるんとびーでは事業所内や自宅だけでなく、地域全体が作業療法のステージと捉えています。「枠組みがない」、つまり一般的な事業所と比べて「あれはダメ、これはダメ」がないので、生活期以上に生活を支えるためのたくさんのチャレンジができる環境があります。

一方で今までには感じたことのない責任も多くて不安になることも多いですが、あらゆる手段を選択でき、可能性が無限にあります。そんな、「作業療法士のパラダイス」です(笑)。ぐるんとびーでは徹底的にその人の暮らしを支えることを大切にしているので「専門職の鎧を脱げ!」と言われますが、私は作業療法士こそ、その『専門性全開』で良いと考えています。それは私たちが目指しているものが「作業療法」そのものだからです。

過去の私のように、ルールや制度でアイデアを実践できずにモヤモヤしている人こそ、ぐるんとびーに飛び込んでほしいと思います。枠のない作業療法には、可能性しかありません。

これまでいろんな職場で働いてきて尊敬する人にはたくさん出会ってきましたが、「この人みたいな作業療法士になりたい!」と思える理想の作業療法士に、実は出会ったことがありません。出会えていないからこそ、自分自身で理想の作業療法を体現していくことが次のチャレンジです!

久保さんの歩み

回復期のリハビリテーション病院で経験を積み、老人保健施設を経て、ぐるんとびーへ入社。過去「利用者のやりたい」を叶えることができなかった悔しい気持ちをバネに、日々、ぐるんとびーで新たなチャレンジをしています。

久保さんの1週間

休日は週休2日の不定休。午前中は看護小規模多機能型居宅介護(以下、看多機)にて利用者さんの作業療法をおこないます。午後は週3で訪問介護でご家庭に訪問しています。ぐるんとびーのある団地に住んでいるため、地域活動に参加したり、業務時間外でもスタッフの皆さんと過ごすことがあります。

ものづくりの環境で育った久保さんは、直感で選んだ作業療法士の道で大きなジレンマに直面しました。利用者さんの願いを叶えられない現実に悩んだ彼女が、ぐるんとびーで見つけたのは枠のない自由な環境でした。

スタッフの結婚式企画を通じて「役割」の力を実感し、作業療法の無限の可能性を見出しました。

現在は「作業療法士のパラダイス」で専門性を存分に発揮しながら、理想の作業療法士像を自ら体現することを目指しています。彼女の挑戦は続きます。

INTERVIEW

ぐるんとびーで活躍する
スタッフのインタビューです。

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