植松(旧姓:茂内) 梓

訪問看護ステーション 所属 リハビリチームリーダー/言語聴覚士・公認心理師・精神保健福祉士
神奈川県足柄上郡松田町出身。O型。さそり座。


うまく
コミュニケーションが
取れれば、
生活の質は上がる。

人とのつながりを大切にする茂内さんの原点は、家族の体験にありました。その体験がどのように彼女の職業選択に影響を与えたのでしょうか。

もとは楽観的な性格だった父が、単身赴任をきっかけにうつ病になった経験もあって、私は大学で精神保健福祉士の資格を取りました。しかし実習では退院支援や行政とのやり取りなど間接的なサポートの仕事に物足りなさを感じていました。

学生時代の重度訪問介護のアルバイトで、頚椎損傷の四肢麻痺の方を担当させてもらったことがあります。その方は「今日はこんな服が着たい、食べたいものはこれ」など、自分の要望を的確に伝えて、自分らしい暮らしをされていたのが印象的でした。その姿を見て、「コミュニケーションが不自由になった方は大変だろうな、なんとかサポートできないかな」と考えたのです。たとえ身体が動かせなくても、コミュニケーションだけでもスムーズなら、生活の質を上げられるだろうと思いました。

コミュニケーションは
言語聴覚士の専門です。

新たな専門性を求めて、茂内さんはどのような道を歩んだのでしょうか。そして、運命的な出会いがどのように訪れたのでしょうか。

「もっと患者さんや利用者さんに直接関われる仕事ができたらいいな」と考え、大学卒業後に専門学校に再入学し、言語聴覚士の資格を取りました。専門学校卒業後は、教育体制が整っている鶴巻温泉病院で4年間勤務させていただきました。レベルの高い環境で、基礎からしっかり鍛えられたと自分では思っています。ぐるんとびー代表の菅原さんも同じ病院のOBなので、ご縁を感じますね。

その後、かねてから自分が進みたかった在宅の道に進みました。訪問診療クリニックで在宅医療に関わり始め、たまたま紹介をいただき、ぐるんとびーと巡り会いました。当時はぐるんとびーの理念など、よく知らないまま入社したのが本当のところで、あとから「この環境なら自分が描いた通り、言語聴覚士の役割を存分に発揮できるかもしれない」と思ったのです。

コミュニケーションに
加えて
「食」の支援にかかわる。

言語聴覚士として大切にしていることは何でしょうか。そして「食べる」ことへの支援にはどのような想いが込められているのでしょうか。

言語聴覚士として心がけていることは、その人の本質を捉えることです。人によって心地よい相づちの打ち方、言葉選び、敬語と友達言葉の混ぜ具合、声のトーンなどは異なります。相手に最適なバランスを探りながら声をかけると「私のことをより深く知ろうとしてくれているよね」という言葉をいただくこともあります。

その人が自分らしく「最期まで生ききる」ために言葉だけでなく、口から食事が取れるよう嚥下の問題にもサポートします。嚥下する力が衰えてくると、だんだん固形物が摂取できなくなり、やがて流動食や液体、ご自身の唾液さえも喉を通らなくなってしまいます。「誤嚥によって命の危険があるから」と、そのまま何も口にできずに最期を迎えるケースも多いでしょう。だからこそ「好きなものを自分の口で食べたい」という人の本質的な欲望を、できるかぎり叶えてあげるのが私の役割だと考えています。

「もしこれが最期のチャンスになったとしても、本人の好きなものを食べさせたい」と言われたら、どんな方法があるか? そもそもチャレンジできるか? 私たちは常に考えなくてはならない仕事をしています。

実際に、ご本人やご家族から「命に代えてももう一度大好物を食べたい」「食べさせてあげたい」と言われる場面もあります。吸引の準備や誤嚥の対策を万全にするのはもちろん、もし救命救急が必要な状態になっても救急車を呼ばないという選択についてご家族にも同意いただいたうえで、医師や看護師などとともに経口摂取に挑みます。

ある利用者さんは「嚥下ができない状態」と診断されて、半年以上何も口にできず、少しずつ身体も弱っていき、寝たきりの状態でした。その中で、ご家族と在宅医療にかかわるチーム全員の意思で、大好きだったコーヒーと野菜のポタージュを口から食べていただくことができました。完全に寝たきり状態だったのに、スプーンを口に運んでさしあげるうちに、自らの手でスプーンを持つようになったのです。そこからどんどん顔に生気が戻り、なんと3か月後には大好きだった生野菜まで召し上がれるようになりました。ご本人の食べたいお気持ちに寄り添うことで、ご自身の「生きる」ためのスイッチが入った、そのお手伝いができたのではないかと捉えています。

もちろん、一か八かで試みたわけではありません。ご本人や家族、そしてスタッフ間の信頼関係を作ることにしっかりと時間をかけました。

まずは寝る姿勢を整えたり、お身体のリラクゼーションを行ったりして、呼吸や嚥下に必要な筋肉をほぐすところからスタートです。言語聴覚士の訪問は週に1回40分程度なので、ヘルパーさんやご家族にも寝姿勢やリラクゼーションの方法などをお伝えし、チームで暮らしを整えていきます。

すると徐々に、利用者さんはご自身の唾液を飲み込めるようになり、痰の量も減るのです。痰が絡みにくくなると、在宅医に胃ろうから摂取する栄養量を増やす許可をもらいやすくなり、栄養状態も整います。ますますリハビリの効果も発揮しやすくなるというわけです。

吸引に備える必要が減ると、ご家族にも少し生活の余裕が出てきますよね。ご家族が「やっと自分の時間がもてるようになってきたよ」と手入れの行き届いた花壇を見せてくださった時に「暮らしが整ってきたな」と感じます。

在宅での言語聴覚士の役割はとても広いと思っています。実際に需要も増えている一方で地域で活躍する言語聴覚士は足りていない印象です。個人的には、今後在宅領域にこそ言語聴覚士が必要だと考えています。だからこそ、”コーヒーと生野菜”のようなケースを多くの人に知ってもらいたいと思っています。

ぐるんとびーでは、ご利用者さんの「食べたい」を叶えたいスタッフが多く、言語聴覚士以外のみんなも食支援に興味を持って、積極的に関わろうとしてくれます。「本当は食べられるのに..。」と思いながら目を背けていたあの頃の自分と比べると、今はとても恵まれた環境です。チャレンジできる機会が増え、違う大変さもありますがチームで向き合えることで「孤独じゃない、一人で抱え込まなくていい」と毎日感じます。言語聴覚士に限らず、「チームで食支援にチャレンジしたい」と思っている方には、ぜひ飛び込んできてほしいと思っています。

言語聴覚士
茂内さんの歩み

大学卒業後に専門学校に通って言語聴覚士になった茂内さん。コミュニケーションや食事の支援を行うのはもちろん、訪問看護ステーションのリハビリチームリーダーを勤めています。外部向けに摂食嚥下に関する講師も行っています。

言語聴覚士
茂内さんの1週間

ご利用者さんとの関わりを考慮し、変則シフトで勤務しています(※訪問看護のSTは、平日8:30〜17:30勤務)。ご利用者のご自宅に訪問する他、自社の介護事業所に足を運ぶ日もあります。

父のうつ病という家族の体験から始まった茂内さんの歩みは、間接的な支援への物足りなさを経て、より直接的に人と関わる言語聴覚士という専門職への転身につながりました。ぐるんとびーでの実践を通じて、「食べる喜び」を最期まで支えることの意味を深く理解し、チームでの取り組みの中で自らも成長を続けています。一人ひとりの「生きる」スイッチを見つけ、寄り添い続ける姿勢は、まさにぐるんとびーの理念を体現する専門職としての誇りに満ちています。

INTERVIEW

ぐるんとびーで活躍する
スタッフのインタビューです。

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